榎槻織の雑記

人間です。

白黒のドミノ

何も要らないから、あげるよ全部。
もうあの病棟には戻りたくない。

 

 

随分前から、くだらない事にすがり出した気がします。一人でくだらない話をして、くだらない本を読む。ぼんやりとした意識のまま、また日が変わる。何してんだって、真面目に生きろって、思うでしょう? 必要なんです、私には、くだらない事が。

 

 

神様なんて、象徴なんです、たぶん。
神様って言葉がないと保てなかった、私の様な白痴が、祈ったんです。で、偶然、本当に偶然、それが実現したから、それを神様にしたんです。
だから神様にタメ口でもいいし、好きな物を神様にできます。象徴だから。
なら、私の神様はくだらない話。

 

 

家にある物も、身体も、何も要らないので、
あげられるなら、これを見てるあなたに全部あげたい。

 

 

病棟は暗かった。電気はついてた。煌々と。白い光と白い壁の箱の中で、飼われてた。
何もなかった。毎日決まった時間に食事と風呂があるだけ。箱の中にも何もなかった。白いベッドと、重い鉄格子の付いた窓と、便器だけ。
それを懐かしいと思って泣いた。

 

 

病棟に居た時はずっと本を読んでいた。くだらない話の本。担当医が親切なお方だったから、一週間に一度、本を一冊持ってきてくださった。


もちろん診察で話すこともあったし、いろんな場面でお世話になったけど、結局、本を持ってきてくれる時の笑顔の印象が強い。
ほんと、笑ってるか笑ってないか分からないくらいの笑顔。それを見ると死にたくなった。

 

 

小動物を殺してみたいって思うんです。それでも私はそれをしない。決して。

 

 

私と話してください。いや、自由に話しかけてください。それで私は上手に息をできると思うから。


でも結局この投稿のコメント欄にささやかなコメントが添えられることはないでしょう。
あの日から誕生日にメッセージカードを渡されなくなったように。

 

 

身長が伸びて、体重が増えました。これは成長なんですか?身体だけ世界の中で滲むように広がれば、それを成長と呼ぶのですか?
私の心は何も成長していない。それを日々感じて安心してる。まだ子供だと言うことに酷く安心してる。

 

 

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
謝りたいんです。可能なら、今まで話したことのある人間全てに謝りたい。

 

 

ずっと思ってる。私を病棟に放り込んだ彼女は、私の世話するよりおもちゃで遊んでいたかっただけだって。
光の薄いホテルのベッドで、見るだけで吐き気を催すおもちゃと遊びたかっただけでしょう?

 

 

早く冬になればいいのに。
大体の人は、時間が早く流れることを嫌う。それは、今がそれなりに充実している証拠。
時間が早く流れて、早く冬になったら、きっと私も幸せになれる。それを信じてるから、くだらない事で時間を待ってる。

 

 

チープなスニーカーは汚れた。メモはゴミ箱に、バッグは底に穴が空いた。
それを見渡して、パウンドケーキを食べて、トランプをして、陳腐な文章を書いて、嘘をつく。
そんなくだらない事が私には必要なんです。

 

 

ごめんなさい。ごめんなさい。

 

どうしてこんなに死ぬのが安易でなくなってしまったんでしょうか。

 

 

いつからか、動物の特番で笑えなくなりました。かわいいとも思わないし、笑えもしない。

 

 

もう、あの白い病棟の方が環境としてマシだったのでは?とまで思えてきた。

夜は泣き声や叫び声が聴こえるし、不潔な男ばっかり。酷くつまらない場所だったけれど、それは私にとっての最高だったかもしれない。

 

 

生きたい。

 

普通に生きたいです、普通に。