榎槻織の雑記

人間です。

ろくがつのにっき

 

今日は6月のわりに天気が良い。

雲の動きも遅く、なんだか夏を感じる。気温も上昇しているし、本当に夏に近づいているんだな。

 

6月の、いや、梅雨の、あの美しさを、今年はほとんど見れなかった気がする。謎の毒親には「5月は美しい」と書かれていた。確かに5月は何もない、何もないからこその美しさがあるように思う。

でも、私は6月が好きだ。雨が降るからこそ吸える空気の香りも、雨の溜まったアスファルトを車が通る音も、バスの窓を撫でる雨粒も、店に入る度に傘を閉じなきゃいけないあの面倒も。

 

紫陽花も美しい。薄桃色、藤色、水色。ひとつの群れとなった花々の中で、見事なグラデーションを奏でており、様々な色が、梅雨の薄暗い街で、それはまるで深海に住むクラゲみたいに、輝いているのだ。その美しさと言ったら、どんな鮮やかな花にも引けを取らない。

 

来年はどうだろうか。このまま気温が上昇し続けたら、もう梅雨と言う存在は消えてなくなってしまうのかもしれない。そう思うと、今までの梅雨が惜しく感じる。私が愛するものはいつもなくなってしまっているような気がする。この現象が地獄なら、その果てと終わりはいつ現れるのだろうか。